生命の手記
北海道 冨岡裕子

菜摘へ
 菜摘、元気ですか?なっちゃんと離れて6年が過ぎました。一緒に行ったおもちゃ屋さんやレストランやスーパーが閉店し、札幌の街がどんどん変わっていきます。思い出の場所がなくなるのはとっても寂しくて切ない・・・思い出が消えていくみたいで。
 時々、なっちゃんが本当にこの世にいたのか分からなくなる時があります。一緒に過ごした日々は夢だったような気がする時があります。でも、事故の日は昨日の事のように感じるのはなぜかな。
 今年、なっちゃんの妹が高校生になるよ。なっちゃん、生きていたらどの高校に行ったんだろう。ピアノの科目のある短大に行きたいって言ってたけど、ママは想像したくても想像出来ない・・・。だって、なっちゃんは小学5年生のままだもの。どうして同級生は大きくなっていくんだろうって、あたりまえのことがとても辛い。
遺品  この前、久しぶりになっちゃんがママに書いてくれた手紙を読みました。なっちゃんのぬくもりに触れて、涙が水道の蛇口をひねったように流れてきた。人間ってこんな風に涙が出るんだ。不思議だね、なっちゃんの事を考えるだけでいつでもどこでも涙が出てくる。
 事故のあとは、裁判やHPで自分を元気づけていたけど、何年たっても事故は減らないし、子供は亡くなり、大人のモラルは変わらない。事故のニュースを見るたびに空しくて悲しくて目を背けたくなる。そんな毎日に嫌気がさしたりしてる。それでも、なっちゃん、ママは、負けず嫌いだからがんばってるよ。なっちゃんのママがへこたれていたらいけないし、なっちゃんに会った時恥ずかしいもんね。
 光のように駆け抜けていった私の菜摘。もっと一緒にいたかった。「生きる」。遺された私たちができる事はなんでしょうか。生命の大切さを伝えること。みんなが優しい心を持っていたら、他の人を思いやる心を持っていたら、犯罪や事故は防げるのではないでしょうか。私は、「生命のメッセージ展」のメッセンジャー達に会ってそう感じました。
 生きて伝えていこう、生命の大切さを。



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